Vリーグ×ウルトラマンシリーズ コラボレーション企画ポスター制作秘話

Vリーグ×ウルトラマンシリーズ コラボレーション企画ポスター制作秘話

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クロスデバイスではこのたび50周年を迎えたVリーグ様と、テレビ放送開始から50年目を迎えるウルトラマンシリーズとのコラボレーション企画のポスター制作を行いました。今回はポスターが完成するまでのクリエイティブや制作秘話について、弊社デザイナーの宮本に訊いてきました。

◆50周年記念事業「Vリーグ」×「ウルトラマンシリーズ」コラボレーション企画
http://www.volleyball50th.jp/ultraman/

ウルトラマンの世界観と別の世界観が混在するのはNGという条件のもと、いかにお互いの魅力を共存させるかに注力しました

―  「今回のVリーグさんとウルトラマンシリーズとのコラボ企画についてですが、まずはどういった経緯でお話があったのでしょうか?」

宮本 「もともとVリーグ所属のバレーボールチーム、豊田合成トレフェルサさんとお仕事をさせてもらっていて、その流れですね。実際にVリーグの試合をみたことがなかったのですが、縁あって昨年の優勝決定戦を東京体育館で観戦する機会がありまして、手に汗握る白熱した展開でしかもトレフェルサが優勝したっていう。いままでサッカーくらいしか生観戦したことがなかったのですが、近場で試合があれば是非バレーボールの試合も観に行こうと思っています。それくらいにセンセーショナルでした。」

―  「宮本さん自身のウルトラマンとの思い出があれば教えてください。」

宮本 「実は自分が生まれた80年代って新しいウルトラマンって出てなくて、記憶にあるのはセブンやタロウ、レオ辺りの再放送を夏休みの衛星放送で繰り返しみていた感じです。あとはウルトラQとかも。新世代ウルトラマンと呼ばれているティガ以降になってからはもう高校生くらいだったかと思うので、その辺からはリアルタイムでは全然追えてないです・・・」

―  「お詳しいですね(笑)」

宮本 「はい(笑)今回お仕事をさせていただくにあたって一通り勉強というか、みっちり復習はしたつもりです。自分はもともと特撮とかもそうですが映画全般好きなので、こういうシリーズモノはすんなり頭に入ってきて助かりました。」

―  「得意だったり、好きなジャンルで仕事ができるっていうのはモチベーションにもなるし、アウトプットの質にモロに響きそうですもんね。」

宮本 「それは間違いないですね。デザインとかクリエイティブな仕事って、物事の本質を理解していないとクライアントの要望であるとか、媒体から発せられるメッセージを受け取る側のコンシューマーの方に、こちらの意図がなかなか伝わらないことが多いんです。作り手が興味が無かったら当然良いものは出来ないと思います。」

―  「話を実制作のほうに移したいと思います。今回のお仕事の中で上手くブレイクスルーできたな と思う点などあれば教えてください。」

宮本 「まず先方からの条件で最も優先順位が高かったものが『ウルトラマンのイメージを損なう表現はNG』というものですね。例えばウルトラマンにテニスをさせたり、バレー選手が巨大化してウルトラマンと一緒に怪獣と戦ったりは絶対にダメです。例外もあるようなのですが、我々のような小さい会社が提案するにはなかなかの難易度でしたので、発想で勝負するしかないなあと。」

―  「例外というのは?」

宮本 「JRAさんのポスターで、歴代のウルトラマンが騎手になって馬に乗って並んでいるものがあるんです。これがOKならウチも・・・ということで色々プロトタイプを持っていったんですが、全部NGでした(笑)」

―  「なるほど。円谷プロさんの看板ですもんね・・・」

宮本 「他にも、イラストは監修が入ればOKだとか、怪獣を用いての表現はウルトラマンほど縛りがない等抜け道はあって、色々と手も考えたのですが、せっかくの50周年企画ということもあり、ここはやはり実写のウルトラマンを使わないといけないなと思いました。ヒアリングを行った際も、円谷プロさんのウルトラマンへの愛情やこだわりが凄まじかったので。」

―  「その後はどういったアプローチを行ったのでしょうか?」

宮本 「いくつか出した案の中で『赤背景にウルトラマンが飛び出してくる』という表現があったのですが、そちらで概ねOKをいただいてからは細部を詰めていく感じでした。制作中盤にさしかかり、ウルトラマンの腕が背景の50の「0」の穴を突き抜けたデザインになっていたのですが、円谷プロさん側からオーダーが入り、ウルトラマンの腕が0から突き抜けている表現に違和感があるため、0のデザインを必殺技の八つ裂き光輪のようにしてほしいとの要望が出たんです。」

―  「大変なオーダーのようにも聞こえますが、そこは腕のみせどころ といった感じだったのでしょうか?」

宮本 「そうですね。そこからさらにウルトラマンのポージングについて言及があったりで元々の案から結構かけ離れたりしてしまっていたのですが、そこは円谷プロさんとVリーグさんとの話し合いを設けてもらって、なんとか丸く収まったという感じですね。」

―  「最終的なOKが出た際は達成感があったのではないでしょうか」

宮本 「それは勿論です。今回に限った話ではないんですが、クリエイティブに関する仕事って、どうしても非効率にならざるを得ないところが多々あると思います。ただ、回り道をしてたくさんのプロトタイプを提示して関係者にヒアリングし続けることで本当に良いものが出来るというのは揺るがないというか。あとはやはり作品やクライアントの熱い想いに対して常にリスペクトを持って取り組むという姿勢は絶対に失わないようにしなければならないと思いました。キツいなって思う事もあるんですが、逆境も楽しめるようになれば全てはうまくいくと思います。」

―  「今回のお話を聞いて、自分も日々の業務の中で色々意識しながら仕事をしなければと思いました。今日はとても興味深いお話をしていただいてありがとうございました。」

宮本 「こちらこそ、ありがとうございました。シュワッチ!」