もう一歩踏み込んだ表現で見る人の共感を呼ぶ広告を - 自社JR広告社内プレゼントドキュメント|クリエイティヴへの取り組み|デザイン web制作 VRl浜松 東京の制作会社【クロスデバイス】

 CREATIVE 
 INITIATIVES クリエイティヴへの
取り組み

2010 自社JR広告社内プレゼントドキュメント

もう一歩踏み込んだ表現で
見る人共感を呼ぶ広告を

プレゼン第1位作品
徹底的につくり込め

第3作目となるクロスデバイスのJR広告が完成し、JR浜松駅の新幹線下りホームに登場しました。
今回のテーマは、「地域クリエイティブNo.1を目指す弊社のスタンスを、より端的に広告表現すること」
ビジネスマンが多く乗降する新幹線ホームというシチュエーションを踏まえ、単純な広告表現ではなく、見た人を立ち止まらせ、深い共感を呼ぶ作品をつくろうと、全スタッフと外部ブレーンが44のアイデアを出し合いました。
厳正な審査を行うために、無記名、コメントなしの状態で社内に展示し、一人10点の持ち点を自由に配分して採点投票。この結果、次のアイデアが上位にランクインしました。

プレゼン結果発表(上位5作品)

Best.1

伝える方法は、
一つじゃない。

16点(8人投票)
ディレクター 松田あかね
Best.2

もちろん、
デザインの話です

15点(5人投票)
デザイナー 青田容承
Best.3

うまく伝えられない
あなたのために

14点(6人投票)
ディレクター 松田あかね
Best.4

ウェブサイトは
必要ありません。

11点(3人投票)
代表取締役社長 早川達典
Best.5

私達は
『デザイン』と呼びます。

10点(4人投票)
デザイナー 青田容承

上位作品の発案者を中心に制作メンバーを選び、「JR広告チーム」を結成。
第1位の「伝えたい事がある、伝える方法は一つじゃない。」案をもとに、制作がスタートしました。構想段階から完成に至るまでのプロセスをたどり、メイキングの一部始終をまとめたドキュメント。4人のメンバーが一枚の広告にかけた熱い思いを語り合いました。

JR広告チーム

チームリーダー

代表取締役早川達典

制作メンバー

ディレクター松田あかね
デザイナー青田容承
デザイナー合志政博

気持ちアクセス
深い共感呼ぶ広告を

早川

「クロスデバイス」という社名の告知を重視した第1回、メディアミックスプロモーションを表現した第2回に対し、今回はさらにもう一歩踏み込んだ広告表現を求めました。

見る人の共感を呼ぶ広告もっと言えば気持ちそのものを鷲づかみにする広告。これまでで一番難しかったんじゃないかな。

合志

“広告とはなんぞや”という原点に立ち返るよい機会だったと思います。世の中が複雑化、多様化する流れの中で、広告は端的さや即効性にウエイトが置かれるようになり、投げかけた情報が視覚や前頭葉で止まってしまっていた。一目瞭然であるがゆえに、人の気持ちに到達する前に消化されてしまうんですね。

でも、人は心が動かないとアクションを起こしません。こういう時代だからこそ、みんなもっと自分の気持ちに率直でありたいと思っているはずです。「地域クリエイティブNo.1を目指す」という社内スローガンもヒントになったのではないでしょうか。

松田

私たちは日頃、膨大な情報をいかに整理してわかりやすく伝えるかに力を注いでいます。受け手がノンストレスで情報を正しくキャッチしてくれたら、ひとまず成功。でも、それだけでいいのかなという疑問はありますね。今回のJR広告は見る人の心を動かすことが課題。いつもとは違う頭の使い方をしました。

青田

そして、松田さんのアイデアが首位に輝いた。点数、人数ともに堂々のトップで、見る人の共感を呼ぶ広告として採用されたわけですよね。

短期間で成果を求められる受注案件と違い、社内コンペは腕試しのチャンスであり、いい意味で無茶ができる。JR広告ともなると、人目に触れる確率はダントツです。だから、みんな勝ちを狙って一生懸命でしたよ。正直、自分の案が選ばれなかったのは悔しいけれど、松田さんのアイデアには心を動かす何かがあると思います。

合志

ここに集まったメンバーは、僕を除いて上位5位までの発案者です。
“伝える”というキーワードで攻めてきた松田さん(第1位、第3位)、お客様のことをとことん考える姿勢を「デザイン」という言葉に落とし込んだ青田君(第2位、第5位)、あえてWebを否定するパラドックスで他社との差別化をアピールした社長(第4位)。

提案力、デザイン力、メディアミックスによる総合プロモーションなど、ひとことでは語り尽くせないクロスデバイスのあり方を、どれもうまく表現していると思います。松田さんは何を手がかりに発想したの?

松田

キーワードになったのは弊社が掲げる「メディアミックスプロモーション」です。広告単体で完成度の高さを目指すと同時に、広告とWebを連動させて、その先のストーリーを展開させようと考えました。「メディアミックス」をクロスデバイス自ら実践し、その効果を実証すれば、説得力を持たせることができますから。

新幹線のホームでこの看板を見た人が「ああ、そうか、わかった」「なるほど、うまい広告だ」と思ったとしても、数分後にはすっかり忘れてしまうかもしれません。見た人の中に何かを残すためには、「続き」が必要。その先に期待を持たせるというか、「行方が気になって仕方がない」という一種のわだかまりみたいなものをしのばせたいと。

Webに誘導すると言ってしまえば作為的に聞こえますが、「続きはWebでゆっくり」というニュアンスを持たせることで、目の前を通過する広告ではなく、これからのお付き合いの入口にしたいと考えたんです。

早川

うん、わかる。オリエンで説明した主旨と広告的アプローチを踏まえ、頭だけでなく心をしっかり働かせて考えている。とても人間的だな。奥行きと深みがあって、クロスデバイスのスタンスがしっかり表現されていると思う。

恋愛をモチーフにすることで
共感の幅広げる

青田

ラブレターを隠し持つ女子高生のビジュアルにはググッときました。社内の男たちはみんな、多かれ少なかれ目を奪われたのではないでしょうか。

松田

クロスデバイスのメインターゲットは、企業の広報担当者や、決定権を持つ40代以上のビジネスマン。男性目線を意識しなかったと言えばウソになります。でも、弊社のお取引先企業様には第一線で活躍されている女性もいますし、担当者の年齢層も幅広い。いろいろな方に広く関心を持っていただくためには、誰もが一度は経験する恋愛をモチーフにするのがいいと考えました。

合志

男性目線、女性目線ということではなく、人としての原体験にアプローチしたわけだね。「伝える」というキーワードが恋愛とうまくかみ合っている。

松田

伝えることは生活のあらゆる場面で必要で、時と場合、相手によって伝え方はさまざま。どうやって自分の思いを伝えたらよいのか、悩むことが多いと思うんです。それは広告も同じで、実際、私たちは日々の業務の中で、クライアントの意図をどうやって伝えるのがベストか絶えず考えていますよね。

ただ、だからといって、ビジネスシーンをそのままストーリーに落とし込んでもつまらない。今回提出した恋愛編のほかに、家族愛編や友情編なども浮かびましたが、人の気持ちのやわらかい部分を突いてくる恋愛が、一番響くのではないかと思いました。

早川

気持ちを突いてくるって大事なこと。僕らは日頃、できるだけわかりやすく表現しようと、ロジカルに考案しているわけだけど、「わかる」と「感じる」は別物だと思うんだ。会議室やミーティングルームと違って、駅のホームでは、人の気持ちは少しゆるくてニュートラル。

恋愛の記憶がよみがえる余地は大いにあるよね。40代の僕としては、手紙をもった彼女の姿に遠い過去の出来事を重ね合わせてしまうね。

松田

そこまで狙っていませんが・・・(笑)
種明かしになってしまうので今は言えないんですけど、この懐かしさが後の展開でまた違った意味を持つことになるんです。

青田

伝えたいという一途な思いがほとばしっていて、青春という感じがする。
さわやかですよね。この素案を初めて見た時、デザインのイメージが大きくふくらみました。イマジネーションをかき立てるのは、心が入っている証拠ですよ。

プロのモデル醸し出せない
リアリティ探して

合志

制作に入る前に、今、話したようなことをみんなで確認し合い、コンセプトを共有したよね。もう一度整理すると、企業の課題を恋する女子高生の悩みにたとえて、最も効果的な伝え方を提案するのがクロスデバイスの役目であることを表現する。

解を明かすのはひとまず留保して、「彼女はどうやって想いを伝えたのか?」のフレーズで自社のWebへ導き、そこからさらにストーリー展開させる、という筋書き。構想が固まったところで、いよいよ制作開始ということになり、やるからには徹底的にやろうと盛り上がった。何事もコンセプトありきだね。

青田

まず、女子高生のモデルをどうするか。後ろ向きに立たせてバストダウンが女子高生っぽい女の子がいいということになって、プロのモデルカタログを取り寄せました。ところが、みんなスタイル良過ぎ。ウエスト締まり過ぎ、ヒップかわい過ぎ、足きれい過ぎ(笑)。なんかイメージと違ったんだよなあ。

松田

そう。きれいな女子がスラリと立っていても意味がありません。ありのままのリアルな女子高生でなくてはダメ。後姿だから誰でもいいというわけではなく、この広告においては、その後姿こそが鍵を握っているんです。中でもこだわったのが足。

普段、街や通学路で見かける素朴で健康的な足が欲しかった。結局、プロはNGということになり、オーディションに切り替えたんですよね。

合志

お仕事をいただいている地元の学校にお願いして、オーディションにご協力いただきました。広報担当の方とは親密にお付き合いさせていただいており、素案をお見せして趣旨をご説明したら、ご快諾いただくことができました。

松田

広告のイメージに合う数人にスカートを着用してもらい、後ろ向きの立ち姿を写真撮影したんですよね。撮影時は気付かなかったけれど、あらためて写真を比較してみると、人の足って本当にさまざま。

起用した女の子の足は、素直な感じがしてとても愛らしかった。リアル、普通っぽい、健康的、太過ぎず細過ぎずなど、選考基準はいろいろあったものの、素直で純粋であることが一番の決め手になりました。モデル選びと同時に、ロケ地探しも大変でしたね。

早川

女子高生がラブレターを渡す場所として選ぶのはどこだろうとみんなで考えた。放課後の教室、公園、川沿いの堤防、それとも浜松らしく海辺にするか…。これはもう現地に立つしかないと、あちこち回ってロケハンしたんだよね。

青田

で、選んだのが遠州浜海浜公園と浜松東街区。当日は制服に見立てたスカートと白いカーディガン、ネイビーのソックスとローファーという衣裳で、撮影を開始しました。確か真冬のすごく寒い日だったな。立ち位置が決まらなくてあれこれ迷ったり、風が強くてスカートの裾が乱れてしまったり。浜松東街区は街中なので、太陽が少し傾いただけでビルの影が地面に映ってしまうんです。

カメラマン泣かせの撮影でしたが、映画のワンシーンを撮っているようでワクワクしましたね。粘った甲斐があって、イメージ通りの絵を押さえることができました。

ロケ地決定に至るまで、2日間かけて合計6箇所をロケーションハンティング

素材そろった
デザインワークだ

早川

デザインはうちのお家芸。ここまでくれば出来たも同然と安心していたけれど、みんなが毎日、深夜までブレストしているのを見たら、これからがいよいよ本番だと感じたね。最初に青田君が起こしたデザインはどんなだったっけ?

青田

40代以上の人が懐かしさを感じるように、ノスタルジックなセピア色系でまとめてみました。でも、妙に落ち着き過ぎるというか、懐古調になってしまって、これは違うんじゃないかと。ノスタルジーに寄り過ぎると情緒に流れてしまうし、この作品がB to Bの企業広告である以上、洗練されたイメージやエッジの鋭さみたいなものを盛り込まなければと考え、ブルートーンでつくり直しました。

松田

最初、写真の上にそのままコピーを載せてみましたが、どうもしっくりこない。あれこれ悩んだ末、「伝えたい事がある。伝える方法は、一つじゃない。」というキャッチコピーをもっと際立たせるべきだということになり、文字枠をつくって強調することにしました。

ここでまた、意見が対立。文字枠の背景を白にするか、それとも罫線が入ったノート用紙にするかで意見が分かれたんです。

合志

そうそう。女子高生だからノートの方がいいんじゃないかと主張する僕ら3人に対して、松田さんは「白でなくちゃダメだ」と一歩も譲らなかった。

松田

ははは、そうでしたね(笑)。それには理由があって、第一に、このキャッチコピーはクロスデバイスからのメッセージであり、モデルの言葉ではないこと。第二に、シチュエーションとして恋愛を採用したけれども、それは共感を呼ぶための手段であって、女子高生に偏り過ぎるとコンセプトがぶれること。

たとえて言えば、シーソーの片側に恋する女子高生がいて、もう一方に制作会社としてのクロスデバイスがいる。そして、普遍性という錘(おもり)でバランスを保っている。ここをきちんと押さえておかないと、先の展開が頓挫しそうな気がして。

早川

ターゲットは女子高生ではないから、学生目線にする必然性はまったくない。こうして試作品を並べてみても、決定作品が最も優れているし、メッセージ性も際立っている。

「普遍性を持たせる」という松田さんの主張は筋が通っているよね。必要以上にディテールにこだわると、コンセプトから遊離してしまう危険性がある。時々、足を止めて、行くべき道筋を確認する姿勢が大切だと思う。

青田

ビジュアルは実際に手を動かして、カタチにしてみないとわからない部分があります。書体、文字の大きさ、配色、レイアウトなど、数ある要素の一つがほんの少しズレただけで台無しになってしまうのが、デザインの怖いところです。

僕はいつもビジュアルを起こす時、コピーを考えてから絵づくりするのですが、言葉の持つ力とデザインの持つ力は異なると思うんですね。もちろん、双方の相性は大切だけど、馴染み過ぎると互いに沈んでしまう。少し摩擦があるぐらいが緊張感を感じさせてちょうどいいんじゃないかな。

合志

確かにそうだね。そういう意味では、この広告はいい線いってると思う。もし、あの時、女子高生路線に踏み込み過ぎていたら、学校広告と見紛うものになってしまったかもしれない。「木を見て、森を見ず」ではクリエイター失格だ。

納得できるまで、幾度となく修正・検討を重ねたデザインワーク

これで完結ではない
“仕掛ける会社”血が騒ぐ

早川

時間をかけてじっくり制作した甲斐があって、納得できる仕上がりになったと思う。浜松の玄関口である新幹線のホームに掲げる以上、地域を代表する制作会社というスタンスを明確にして、力強くアピールしたいからね。この作品なら、その目的も達成できるはずだ。

ただし、ここから先があるというのが今回のミソ。発案者の松田さん、そのへんの企みをチラッと聞かせてくれないかな。

松田

企みなんて…(笑)。最初に話したように、もともとこの広告はプロモーションのワンツールと位置付けていて、新幹線のホームから自社サイトへ一人でも多くの人を招きたいというのが狙いです。広告の下欄にある「想いを伝える事が、私たちの仕事です。」というコピーはクロスデバイスとはどんな会社であるかを必要最小限の言葉で表現したもの。

もうひとつの「彼女はどうやって想いを伝えたのか?」はキャッチコピーを受けた下の句で、自社サイトへの導入でもあります。「一体この後、何が?」で、あとは内緒にさせてください(笑)。

青田

もちろん、ただの恋愛ストーリーじゃないですよね。これだけ期待させておいて、つまらなかったら罪ですよ(笑)。

合志

おいおい。続きも制作チームとしてのプロジェクトなんだから、松田さんに丸投げするなよ(笑)。ちょっとだけ匂わせると、「恋愛と広告は普遍的なものである」ということかな。これ以上言うとネタバレになっちゃうから、やめとこ。

青田

JR広告だけを見て、サイトの続きを見なかったら、それは映画の予告編を見て本編をスルーしてしまうようなもの。広告はほんのイントロに過ぎず、ここから先が見どころです。ぜひ、大勢の方にアクセスしていただきたいですね。

早川

この恋愛をモチーフにした広告が特設サイト上でどのように展開していくのか、そもそもなぜ恋愛なのか、僕も番宣したくてウズウズしているんだけど、「近日公開、乞うご期待」とだけ言っておきます。

何はともあれ、まずは一段落。第2幕以降を魅力的なものにするために、引き続き、このチームで頑張ろう。

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